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セラミック天板を現場で割らないために。プロが守るべき「下地・養生・搬入」の鉄則と、加工リスクを回避する新常識
今回のお悩み
「最近、施主様からデクトンなどのセラミックカウンターを指定されることが増えましたが、正直、現場での破損が怖いです。プロとして、施工時に絶対に外せないポイントや、リスクを減らすコツを教えてください。」
今回は、この切実なご質問にお答えしていきたいと思います。 デザイン性が高く、熱や傷にも圧倒的に強いセラミック材。しかし、その「硬さ」は、施工現場においては「柔軟性のなさ」というリスクに直結します。70年以上にわたり石材加工と向き合ってきた私たちの視点から、現場で後悔しないための鉄則をお伝えします。
なぜセラミックの施工は「怖い」と感じるのか?
デクトンに代表されるセラミック材は、磁器素材や天然水晶などを超高圧でプレスしており、アクリル系の人工大理石とは比較にならない耐熱性と高級感を持っていますが、唯一の弱点は「しなり」が少ないこと。
人工大理石なら許容されるような、わずかな衝撃や歪みが、セラミックでは一瞬で致命的なクラック(ひび割れ)に繋がります。高価な素材だけに、破損した際の損害額や工期の遅延は、現場監督にとって最大のストレスですよね。そのリスクを回避する鍵は、「現場加工を極限までゼロにすること」「下地の平滑性」そしてもう一つ、「搬入時のリスク管理」この3点に集約されます。
【鉄則1】精密な下地づくりと「面」で支えること
カウンターを支える構造には、キャビネット置きやブラケット支持など様々なタイプがありますが、セラミックにおいて最も重要なのは「点ではなく面で支える」ことです。
実際の現場では、下地材にわずかな不陸(ふりく)が生じるのは避けられないことかもしれません。しかし、しなりの少ないセラミック天板にとって、その「わずかな隙間」は破損リスクに直結します。隙間がある状態で上から荷重がかかると、そこが支点となって応力が集中し、パキッと割れてしまう原因になるからです。
特に足元がフリーになる「フローティングタイプ」の場合は、ブラケットの剛性と水平精度がすべてです。現場の状況に合わせて、パッキン等での微調整や下地の追い込みを丁寧に行い、天板を「面」で均一に受ける。この精密な下地づくりこそが、セラミック施工における最大の防御策となります。
【鉄則2】現場でのサンダー加工が「クラックの種」になる
「現場でちょっとサイズが合わないから、サンダーで削ろう」——。この判断が、実は一番危険です。 セラミックは非常に硬質であるため、一般的な工具では切断時に猛烈な摩擦熱と振動が発生します。その際、目に見えないほど微細な「マイクロクラック」が切り口に入ってしまうことがあるのです。
施工直後は問題なくても、数ヶ月後に熱い鍋を置いた時の熱膨張や、日常のわずかな振動がそのヒビを広げ、ある日突然、開口部の角からピシッと割れが走る……。そんな悲劇を防ぐには、工場のウォータージェットによる「非接触・水冷加工」が不可欠です。水流で冷やしながらカットすることで、素材にストレスを与えず、滑らかな断面を実現できるからです。
【鉄則3】搬入時の一撃が命取りになる
セラミックや人造大理石は、面に対する強度は抜群ですが、小口(角)への衝撃には驚くほど繊細です。実際、破損トラブルの多くは「施工中」もありますが、
搬入・荷揚げ・仮置きのタイミングで発生しています。
・トラックからの荷下ろし時に、わずかに角を当てた
・廊下や階段で壁や手すりに触れた
・床に直置きした際、荷重が一点に集中した
この“ほんの一瞬の衝撃”が、後工程で致命的なクラックとして表面化するのです。
- 搬入ルートの事前確認:搬入トラックがどこまで寄せられるか、養生幅は十分か。
- 人員計画:人工大理石より重い前提で、無理のない人数を確保。
- 養生のタイミング:梱包を解くのは、設置場所の横で「載せるだけ」の状態になってから。
「石は重くて強い」という先入観を捨て、ガラスを扱うような慎重さが、プロの現場には求められます。
結論:現場の工数を減らす「プレカット発注」が最強の工期短縮
現場での穴あけやカットは、今や「施工品質を下げるリスク」でしかありません。ダイワ建材では、現場の状況を反映した1mm単位の図面さえあれば、シンク穴・コンセント穴、さらには複雑なエッジ加工まで、すべて工場で完了させた状態でお届けします。
現場での粉塵や騒音に悩まされることも、加工ミスで冷や汗をかくこともありません。これからのセラミック施工は、「工場で完璧に仕上げ、現場では載せるだけ」にする。これが、プロが選ぶべき新常識です。
セラミックカウンターの図面指示や、納まりについて不安がある方は、まずは図面(PDFやDXF)を添えて、ダイワ建材へお気軽にご相談ください。
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